ドクターブログ

高齢化社会におけるインプラントオーバーデンチャー

 超高齢社会におけるインプラントオーバーデンチャー(IOD)
近年、インプラントの安定性が得られ、40年を超える長期症例がみられるようになってきた反面,患者の高齢化による身体的制限, 虚弱化により患者が補綴物に適応できなくなるといった問題点も浮き彫りになってきています。ジュネー 大学のMüllerらは、現在と将来の患者に適応するために,固定性インプラント補綴物は、 はじめは 次にスタッドタイプやボール, さらに維持力の弱いマグネットのように、将来のオーバーデンチャーにむけてデザインされるべきであると提唱しています。
 超高齢化社会である日本での実態をみてみると,平成28年度の歯科疾患実態調査において, インプラント装着者は65歳以上では約3~4.6%を占める (図20) 2016年に公益社団法人日本口腔インプラント学会が行った調査では、回答があった歯科訪問診療を行っている歯科医師291名が診察した患者 12,356 人の7割はセルフケアが困難な状況であり, うちインプラントを有する360人のうち8割が固定性補綴を有していると報告されています。またインプラントに関したトラブルとしては、47%が清掃困難, 39% がインプラント周囲炎です。

アフタ性口内炎

「再発性アフタ性口内炎」の臨床所見と治療法
アフタの再発を繰り返す口腔粘膜の炎症を「再発性アフタ性口内炎」(RecurrentAphthous Stomatitis)といい,臨床的には、「小アフタ型」,「大アフタ型」,「疱疹状潰瘍型」
の3型に分類されます
対処法としては,局所の刺激を避け,口内炎パッチの貼付,ステロイド含有軟膏塗布,含嗽,鎮痛菜,漢方薬,活性型ビタミンB2製剤投与など薬物療法,および口腔内を清潔に保っことなどが一般的ですが、しばしば接触痛を伴うため,摂食・会話など口腔諸機能の低下が罹患患者にとって大きな課題となります、レーザー照射療法は,照射部位表面付近の組織に直接作用し,疼痛に対して即時的な鎮痛効果が得られ持続されるものです。
「再発性アフタ性口内炎」の臨床的特徴
①小アフタ型:約80~90%と最も多い頻度であるとされ,径が5mmくらいの浅い潰瘍をいいます、潰瘍の個数は1~5個程度で,症状は軽く,瘢痕を残さずに7~14日程度で治癒します。口層,頬粘膜,舌背,舌側縁など非角化口腔粘膜に発生します。
②大アフタ型:潰瘍の径が10mm以上と大きく,角化,非角化口腔粘膜に発生し,軟口蓋に発生することが多いものです。潰瘍は深く,個数は1~3個で,治癒までの期間は1か月以上に及ぶことが多く,疼痛が激しくしばしば瘢痕を残します。
③疱疹状潰瘍型:ヘルペス性歯肉口内炎に類似した径1~2mmの5~20個(ときに100個)の小潰瘍が非角化口腔粘膜に散在性,多発性に発生します、特に,舌腹,口底粘膜に生じることが多く,潰瘍は7~14日程度で通常瘢痕を残さず治癒します。

高齢者のインプラントオーバーデンチャー

インプラントオーバーデンチャー(IOD)
 最近,固定性インプラント補綴を行った患者がインプラント周囲炎に罹患するケーススが増加しています。インプラント再手術や除去手術が困難である場合も多い。そのような場合、固定推の上部を外し、アタッチメントに交換し可撤性義歯、すなわちIODに変更することが可能です。特に患者が高齢になり介護が必要になる場合のことなどを考えると,固定性よりも可撤性のほうがメインテナンスしやすいという利点もある。また,通常の全部床義歯または部分床義歯のケースにおいても,著しく顎堤が吸収した無歯顎症例やすれ違い唆合などの難症例に対し,インプラントの活用が有効となります。今後ますます社会の高齢化が進むなかで,IODは固定性インプラントからのリカバリーケースや,あるいは最初から欠損補綴のオプションの一つとして、ますます重要な位置付けになると思います。

顎関節症の診断

 顎関節症は、その病態により4つに分類される。咀嚼筋痛障害(Ⅰ型)の主な病態は、咀嚼筋の持続的収縮による血行障害である。病態診断のためには咀筋の触診が有効であるが、痛みが慢性化すると、痛みを感じる中神経の過敏な状況(中枢性感作)を生じ、症状の改善が難しくなる。顎関節痛障害(Ⅱ型)は、主には顎関節への過負荷による関節内の炎症ある。顎関節円板障害(Ⅲ型)は関節円板の転位や変形によるものであるが、主には転位した関節円板が開口時復位するもの(Ⅲa型)と復位しないもの(Ⅲb型)に分類され、前者はクリック音、後者はクレビタス音を伴うことが多い。後者は復位しない関節円板が開口障害の原因となる(クローズドロック)。ちなみに関節円板の転位について、以前は転位した関節円板を復位させるべく治療が行われていたが、顎関節症症状のない人のMRI画像を調べると、半数以上の人が関節円板の転位や変形が認められることや、慢性の非復位性関節円板転位のケースで関節円板が転位したままでも開口量が増加すること、またそのときに関節円板後部組織が線維化して偽関節円板として機能することが分かり、現在では関節円板が転位していること自体は問題なく、転位したままでの機能の回復を目指すという考えになっている。変形性顎関節症(Ⅳ型)は,顎関節部の退行性病変であるが、診断には画像診断による骨の変形だけでなく臨床症状を生じていることが必要である。

外科的歯内治療の成功率

 外科的歯内療法の成功率はどうでしょうか?
データベースから検索できる論文から得られる成功率は、根管治療と同様、ばらつきがあるため注意が必要である、たとえば、2004年のWangらによる論文では、74%であったと報告されている、この論文では最長8年の予後を含んでおり、長期予後症例が含まれているところは評価されるべきであるが、実際に外科的歯内療法が行われたのは1993~1998年である。90年代は歯内療法、とりわけ、外科的歯内療法に多くの変化がみられた時期で、従来型の歯根端切除術が器具、材料などの変革により大きく変わり、それに伴い、成功率も向上した。歯科用拡大鏡などにより術野を拡大下にて観察できるようになり、従来法では明確にすることが難しかった根管治療後の治癒不良の原因(イスムスや側枝、見逃した根管等)を発見できるようになり、それらを超音波チップにてマネージメントできるようになった原因を除去した後のスペースには、より封鎖性の高い材料としてMTAを使用することにより、高い生体親和性による良好な治癒と、漏洩の多かったアマルガムに比べて、長期にわたり高い封鎖性を維持することが可能になった。これら近年のテクニックにて行った外科的歯内療法の成功率は約91~93%、92.9%1と報告されており、根管治療と同様、現時点で理想的に外科的歯内療法を行えば、その成功率はおよそ93%ということになるであろう。
 根尖性歯周炎は細菌感染であるため、治療において心掛けることは、「いかに細菌コントロールするか」に尽きる、術中に無菌的な処置を行うことに加え、辺縁漏洩をいかになくすか、そして根管治療後はすみやかに歯冠修復を行うことも大切なことである。高い成功率が担保されている根管治療を行ったにもかかわらず、歯冠側からの細菌漏洩により病変の治癒が得られないがあってはせっかくの根管治療が台無しである。

加齢とともに姿勢の変化が顎位に与える影響

加齢による姿勢の変化は,全身の筋力の低下、特に等尺性の収縮力低下により生じるもので、さまざまな全身各所の加齢変化を伴っている可能性があります。その一つは、呼吸・嚥下機能を担う喉頭の位置の変そして顎位の変化である.頸椎の前彎がなくなり,頭部の位置が前方へ変化することにより、環軸関節は以前と違う環境にさらされます。そして、舌骨の位置変化なども加わり、そのすべてが顎位に影響を与えている可能性があります。その顎位の要となる顎関節にも、高齢者特有の器質的変化がみられ、顎位は不安定になっていきます。

高齢者の顎位の変化

 顎位に関する顎関節の正常構造と加齢変化については、顎関節は下顎骨と側頭骨とを連結し、顎運動を規制する左右一対の重要な関節であり、両側が同時に機能するという、ほかの関節とは異なる特徴が有ります。そのため、片側に変化が生じた場合、他方の関節にも影響が及ぶこととなります。
顎関節は蝶番運動と滑走がバランスよく行われるように構造されており、その形態は進化と発生から形作られた面と、その後の機能の変化に適応して形成された面の二次的な要素を含んでいます。すなわち、顎関節は哺乳、咀嚼などの機能変化、そして無歯期から乳歯列期、永久歯列期などの咬合状態の変化に適応して形態を変えることができます。これは顎関節部に加わる負荷によって、その形態を適応変化さrせていることによるものです。加齢、および歯の喪失により下顎頭への負荷が減少すると、外形は委縮してラフな関節へと変化していきます。
また、顎関節の器質的変化は関節窩と下顎頭の間に存在する関節円板に及ぶこともあり、関節円板穿孔例もあります。これは顎位の変化によって関節円板を長年するような力が働いた結果ではないかと推測できます。そして、加齢に伴って顎位も不安定になっていきます。

超高齢社会における糖尿病重症化、歯科医療の役割

 予防対策における歯科医療の役割、超高齢社会の到来に向け,厚生労働省は糖尿病の重症化予防,とりわけ腎症の重症化予防に向け,2016年4月に日本医師会一日本糖尿病対策推進会議と共同で糖尿病性腎症重症化予防プログラムを策定し発表した。
 そのなかの,「実施上の留意点」の項においては,一般に高齢者,特に後期高齢者では脂肪組織が過度に成熟した状況は改善され,むしろ逆に低栄養状態が問題となるケースが多い.このような状況では,脂肪組織の成熟に伴う歯周炎症の生体への波及は問題とならないものの,栄養状態の改善が重要な課題となる。一般に,栄養の経口摂取は経静脈摂取に比べ,すみやかなインスリン分泌がもたらされること,その効果は栄養素が腸で吸収される場合にのみ一過性に観察されることが明らかとなっている。この背景には腸管上皮細胞から産生されるインクレチンと呼ばれるホルモンが関与し,このホルモンがインスリン分泌を促進することでもたらされることが解明されている。
 最近,同じ経口摂取でも,よく噛んで噪下したほうが,よりインクレチン分泌やそれに続くインスリン分泌量が多いことが示唆され,噛むという機能の重要性が再認識されている。噛むという機械的な刺激が重要なのか,より食物を噛み砕くことでインクレチン分泌を促進する口腔内の受容体を刺激する作用が大きくなるのかについて解明することは,今後の歯科医学研究における重要な課題と言える。
  中医協が示す歯科医療概念の変遷にある.「従来の健常者を対象とした審美の回復を重視した医療から,高齢者型の機能の回復を重要視した治療体系へと変遷しなければならない」との基本理念にも合致する。糖尿病との関連で言えば,高齢者の高カロリー輸液で急性の高血糖症候群を招-きやすいことから,高齢者では留意が必要であることは従来から言われていることであり,可能な限り栄養の経口摂取機能を維持し,インクレチン効果を期待することの重要性は今後さらに増してくると言えよう。食後のずみやかなインスリン分泌により摂取したエネルギーが効果的に筋肉に取り込まれるとすれば,フレイル予防にも寄与する。

口腔機能発達不全症

ろうそくを吹き消せないことと,歯科と,なんの関係があるの力と思うかもしれません.しかし,ろうそくを吹き消せないことの原因には,「息を自分の思う場所へ吹くことができない」「吹くために唇を尖らせることができない」「口腔内で舌が前に出てきてしまい,息を前に出すのを邪魔している」など,多くの問題点が隠れています.
 本来できるはずである「吹く」という口腔機能が育っていない子どもでは,他にも,年齢に応じた口腔機能が育っていない可能性があります。
「そのような子どもに対し,年齢に伴った口腔機能発達へと導き,その子が本来もつ形態や機能を獲得するための支援ができると考えています。
 「口腔機能発達不全症」の診断のもと,「小児口腔機能管理加算」の算定が行われることになりました。口腔機能発達不全症とは,『「食べる機能」,「話す機能」,その他の機能が十分に発達していないか,正常に機能獲得ができておらず,明らかな摂食機能障害の原因疾患がなく,口腔機能の定型発達において個人因子あるいは環境因子に専門的関与が必要な状態』をいいます。15歳未満で,「口腔機能発達不全症に関する基本的な考え方」に示されている評価項目のうち,「咀嘔機能」を含む2項目以上に該当する場合に,「口腔機能発達不全症」と診断されます。

局所麻酔アレルギー

 現在,日本で市販されている表面麻酔薬製剤の多くはエステル型の局所麻酔薬です。エステル型はアミド型に比べ,アレルギーを発症する可能性が高い。エステル型麻酔薬の分解産物であるパラアミノ安息香酸(PABA)がメチルパラベンと化学構造が類似しているため,高い抗原性を示しIV型アレルギー反応(接触性皮膚炎)を起こしやすいと考えられています。メチルパラベンは化粧品などに防腐剤として広く用いられているもので,エステル型の表面麻酔薬を使用する前には,患者さんに化粧品などでかぶれた既往がないかを確認する必要があります。
 アミド型局所麻酔薬によるアレルギーの発症頻度は,これまで極めて低いと考えられていましたが、アミド型局所麻酔薬によるIV型アレルギー発症の報告が増えています。これは一般用医薬品に高頻度に局所麻酔薬が配合されるようになったことが原因と考えられます。近年では特にリドカイン塩酸塩含有の医薬品(かゆみ止め,鼻炎スプレー,痔薬など)が増加しており,それに伴ってリドカインに対する接触皮膚炎が増加しているといわれます。
 リドカイン塩酸塩はエステル型局所麻酔薬やメチルパラペンよりも抗原性は低いとされていますが、日頃からのリドカイン塩酸塩の感作頻度の増加により,今後は歯科用局所麻酔注射薬として頻用されているリドカイン製剤に対してアレルギー反応を示す患者が増加する可能性が高いことが予想されます。また,リドカイン塩酸塩に対するI型アレルギー発症(アナフィラキシーショックを含む)の報告も少なからず存在することから、局所麻酔薬製剤に対して過敏が疑われる患者さんに対しては注意が必要であり,術前の十分な問診とアレルギー発症した場合に備えた準備を常にしておくべきと考えます。

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