ドクターブログ

局所麻酔アレルギー

 現在,日本で市販されている表面麻酔薬製剤の多くはエステル型の局所麻酔薬です。エステル型はアミド型に比べ,アレルギーを発症する可能性が高い。エステル型麻酔薬の分解産物であるパラアミノ安息香酸(PABA)がメチルパラベンと化学構造が類似しているため,高い抗原性を示しIV型アレルギー反応(接触性皮膚炎)を起こしやすいと考えられています。メチルパラベンは化粧品などに防腐剤として広く用いられているもので,エステル型の表面麻酔薬を使用する前には,患者さんに化粧品などでかぶれた既往がないかを確認する必要があります。
 アミド型局所麻酔薬によるアレルギーの発症頻度は,これまで極めて低いと考えられていましたが、アミド型局所麻酔薬によるIV型アレルギー発症の報告が増えています。これは一般用医薬品に高頻度に局所麻酔薬が配合されるようになったことが原因と考えられます。近年では特にリドカイン塩酸塩含有の医薬品(かゆみ止め,鼻炎スプレー,痔薬など)が増加しており,それに伴ってリドカインに対する接触皮膚炎が増加しているといわれます。
 リドカイン塩酸塩はエステル型局所麻酔薬やメチルパラペンよりも抗原性は低いとされていますが、日頃からのリドカイン塩酸塩の感作頻度の増加により,今後は歯科用局所麻酔注射薬として頻用されているリドカイン製剤に対してアレルギー反応を示す患者が増加する可能性が高いことが予想されます。また,リドカイン塩酸塩に対するI型アレルギー発症(アナフィラキシーショックを含む)の報告も少なからず存在することから、局所麻酔薬製剤に対して過敏が疑われる患者さんに対しては注意が必要であり,術前の十分な問診とアレルギー発症した場合に備えた準備を常にしておくべきと考えます。



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