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外科的歯内治療の成功率

 外科的歯内療法の成功率はどうでしょうか?
データベースから検索できる論文から得られる成功率は、根管治療と同様、ばらつきがあるため注意が必要である、たとえば、2004年のWangらによる論文では、74%であったと報告されている、この論文では最長8年の予後を含んでおり、長期予後症例が含まれているところは評価されるべきであるが、実際に外科的歯内療法が行われたのは1993~1998年である。90年代は歯内療法、とりわけ、外科的歯内療法に多くの変化がみられた時期で、従来型の歯根端切除術が器具、材料などの変革により大きく変わり、それに伴い、成功率も向上した。歯科用拡大鏡などにより術野を拡大下にて観察できるようになり、従来法では明確にすることが難しかった根管治療後の治癒不良の原因(イスムスや側枝、見逃した根管等)を発見できるようになり、それらを超音波チップにてマネージメントできるようになった原因を除去した後のスペースには、より封鎖性の高い材料としてMTAを使用することにより、高い生体親和性による良好な治癒と、漏洩の多かったアマルガムに比べて、長期にわたり高い封鎖性を維持することが可能になった。これら近年のテクニックにて行った外科的歯内療法の成功率は約91~93%、92.9%1と報告されており、根管治療と同様、現時点で理想的に外科的歯内療法を行えば、その成功率はおよそ93%ということになるであろう。
 根尖性歯周炎は細菌感染であるため、治療において心掛けることは、「いかに細菌コントロールするか」に尽きる、術中に無菌的な処置を行うことに加え、辺縁漏洩をいかになくすか、そして根管治療後はすみやかに歯冠修復を行うことも大切なことである。高い成功率が担保されている根管治療を行ったにもかかわらず、歯冠側からの細菌漏洩により病変の治癒が得られないがあってはせっかくの根管治療が台無しである。



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