ドクターブログ

顎関節症の診断

 顎関節症は、その病態により4つに分類される。咀嚼筋痛障害(Ⅰ型)の主な病態は、咀嚼筋の持続的収縮による血行障害である。病態診断のためには咀筋の触診が有効であるが、痛みが慢性化すると、痛みを感じる中神経の過敏な状況(中枢性感作)を生じ、症状の改善が難しくなる。顎関節痛障害(Ⅱ型)は、主には顎関節への過負荷による関節内の炎症ある。顎関節円板障害(Ⅲ型)は関節円板の転位や変形によるものであるが、主には転位した関節円板が開口時復位するもの(Ⅲa型)と復位しないもの(Ⅲb型)に分類され、前者はクリック音、後者はクレビタス音を伴うことが多い。後者は復位しない関節円板が開口障害の原因となる(クローズドロック)。ちなみに関節円板の転位について、以前は転位した関節円板を復位させるべく治療が行われていたが、顎関節症症状のない人のMRI画像を調べると、半数以上の人が関節円板の転位や変形が認められることや、慢性の非復位性関節円板転位のケースで関節円板が転位したままでも開口量が増加すること、またそのときに関節円板後部組織が線維化して偽関節円板として機能することが分かり、現在では関節円板が転位していること自体は問題なく、転位したままでの機能の回復を目指すという考えになっている。変形性顎関節症(Ⅳ型)は,顎関節部の退行性病変であるが、診断には画像診断による骨の変形だけでなく臨床症状を生じていることが必要である。



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