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インプラントオーバーデンチャー

 インプランドパーシャルデンチャーは必要インプラント埋入本数が少ないという点において,より多くのインプラント支台を必要とする固定性補綴装置に比較して,治療時間・費用の削減,さらには大規模な骨造成も必要としないため外科的リスクが小
さいという利点もあります。そして可撤性であるため,良好な清掃性も期待できます。さらにこれまでの報告から,インプラント自体の高い生存率も示されています。インプラントパーシャルデンチャーは欠損補綴治療の有効な選択肢として,今後、ますます適応症例が増加するものと見込まれます。
 一方,インプラントパーシャルデンチャー装着後の合併症,特に力学的要素に関係する機械的合併症として,義歯床の破折,さらにはアタッチメントやスクリューのゆるみ等,インプラント構成要素のトラブルが少なからず報告されています。これらの主な原因は,咬合力など機能時に義歯に加わる荷重と考えられます。最新の調査によると,多くのトラブルは義歯装着後,最初の1年以内に起こりやすいとされています。
 装着後の機械的合併症を最小限にし,かつ効果的にインプラントを活用するためには,力学的に適切な設計が肝要である.インプラントパーシャルデンチャーの設計においても、従来の部分床義歯の基本原則,すなわち支持・把持・維持をベースに,インプラントの本数,位置,サイズ,またはアタッチメント等を用いた義歯との連結方法に対する適切な指針が必要となります。しかしながら,現時点ではエビデンスレベルの高い臨床研究や,設計に直接関連する力学的な研究データは不足しています。したがって,設計指針を考慮するためには,まずはインプラントパーシャルデンチャーの力学特性を理解することが不可欠です。

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