ドクターブログ

ゴールデンウィーク期間の休診日

 4/29(土)、4/30(日)、5/3(水)、5/4(木)、5/5(金)
休診させていただきます。

なお、5/1(月)、5/2(火)、5/6(土)は通常診療いたします。

超高齢社会

日本の人口の高齢化は年々進行しています。平均寿命の延びを反映して高齢者率は伸び続け,2015年には26.7%となりました。「4人にI人が高齢者」の時代なのです。人口の高齢化や疾患の多様化が進むにつれて摂食嘸下障害が顕在化し,歯科医療の分野でも注目されることとなりました。
 「摂食嘸下障害」とは,脳血管疾患や脳腫瘍術後の後遺症,頭頚部腫瘍の手術や放射線治療後の後遺症,パーキンソン病やALSなどの神経疾患などにより,「機能的・器質的問題によって生じる摂食嘸下機能の障害」のことをいい,その症状は「咀噌や嘸下の困難感」「食事時あるいは食事後の咳き込み」「食道通過不良による胸部の違和感」「食欲減退による食事時問の延長」「体重減少」「栄養不良」「肺炎発症や誤嘸・窒息」など多岐にわたります。2011年,日本人の死亡原因の第3位に肺炎が浮上しました。その90%以上は高齢者であることから,高齢者の増加が深く関係していると思われます。そして,その肺炎の原因の多くが,摂食嘸下障害を伴う誤嘸性肺炎であることから,自分自身の症状を自覚したり訴えたりすることのできない認知症を有する高齢者では,体力や免疫力の低下に加えて,常に摂食嘸下機能の低下に対して注意を払う必要があります。

睡眠関連疾患

多くの睡眠関連疾患は,歯の喪失が始まる中高年以降に増加するが,睡眠時ブラキシズムは加齢とともに低下します。つまり,顎口腔系の力の制御の観点では,睡眠時ブラキシズム以外の睡眠関連疾患や睡眠の異常を知る重要性を,暗に意味すると考えられます。それは,背景に睡眠関連疾患を有する場合,睡眠時ブラキシズムの有無にかかわらず,過剰な咀喘筋活動を示す患者がいる可能性が高いからです。
 また,さまざまな睡眠関連疾患患者で,睡眠時ブラキシズムが併存することも報告され,背景疾患によってはスプリントの選択や使用法が必要となる可能性が指摘されています。たとえば,スタビライゼーション型スプリントが軽度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)患者のいびきや無呼吸を悪化させる可能性が指摘されています。また,睡眠時無呼吸症候群用の下顎を前方移動させる口腔内装置が睡眠時ブラキシズム患者のリズミカルな顎運動に効果があるという報告があります。
 一般に睡眠時ブラキシズムの危険因子とされている,ストレス,喫煙,カフェイン摂取,飲酒など睡眠調節に影響を与え,中枢神経系に作用する薬剤は,睡眠調節に加えて運動調節にも影響する.したがって,睡眠時ブラキシズムだけではない「力」を生む背景要因の多様性を鑑別するためには,睡眠関連疾患に特徴的な症状や徴候の有無,内服薬の処方状態,さまざまなリスク因子の存在を確認するなど,チェアサイドで可能な方法で睡眠の異常を診査し,必要に応じて睡眠専門医に対診することも今後は必要になってくるかもしれません。そのうえで,口腔・顎顔面の臨床徴候から顎口腔系への力の負荷を診断し,スプリントを用いてコントロールする歯科的アプローチを組み合わせることが必要と考えられます。

お問合せ