ドクターブログ

歯髄保存

 いったんう蝕がエナメル質より象牙質に進行すれば,いわゆる予防的な側面から,歯髄保存へのアプローチをどのように行うかが重要です。
 現在,日常臨床においてう蝕の検知法は,繭蝕検知液を用いる方法が主流となっています。これはFrankらが提唱した概念に基づく.Frankらは,除去すべき繭蝕について,う蝕象牙質第一層は再石灰化か不可能であり,う蝕象牙質第二層は再石灰化か可能であることから,第一層のみ除去することを推奨しています。
 露髄を伴わない場合はReactionary Dentinogenesis を期待した治療を行うことになります。臨床ではステップワイズエキスカベーションやシールドレストレーショッという手技を用い,材料の進歩に伴い,多様性をもって歯髄保存を日常臨床に取り入れています。
 シールドレストレーションは一回法による隔蝕除去ならびに二回法における確定的う蝕除去の際に用いられる方法です。本方法は,前述のとおり,軟化象牙質除去後には細菌の残存が考えられるため,その活動を停止させるようにMDPB含有のプライマーなどを用い,さらに封鎖性の良い材料で象牙細管をシールする方法です。細菌の活動を停止させることを目的とします。

歯周病菌

 歯周病の原因は、あくまで「細菌性プラーク(バイオフィルム)です。口腔内の細菌は約800種類とも言われていますが、その中の10種類ぐらいの細菌がカリエスを作り、10種類ぐらいの細菌が歯周病を起こします。
歯周病を引き起こす細菌のほとんどは「グラム陰性菌」ですが, そのグラム陰性菌は最表層に「莢膜(きょうまく)」いうネバネバした膜をもち、そこに「リポ多糖体(Lipopolysaccharide) という内毒素を有し、リポ多糖体により歯肉に炎症を起こすのが「歯周病」です。(なかには.慢性期であっても細菌が直接歯周組織を破壊するActinobacillus actinomycetemcomitansのような細菌もいる)。その結果、歯肉の炎症はあるものの歯を支える歯槽骨が吸収していない状態を「歯肉炎」と呼び、歯肉の炎症に加えて骨が吸収した状態を「歯周炎」と呼びます。本来は「骨」ではなく「付着器官(Attachment Apparatus)の喪失」ですが, 理解しやすいように簡単に記す)。
つまり、簡単に言えぱ.その炎症の直接の原因となる「根面に付着したリポ多糖体」および、それを作る「プラーク(Plaque)」を除去していくことが「歯周病の治療」であると言うことができます。ちなみに、以前は「歯石」も歯周病の原因と言われていた時代があったが今では「Plaque Retention Factor」という位置づけであるのはご承知のとおりです。

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