ドクターブログ

不正咬合の原因

不正咬合の原因は先天的因子と後天的因子に分類するものが考えられます。目の大きさ,鼻の高さ,顔立ちが両親に似るように,顎の大きさ,形に歯の大きさ,数などは遺伝し,これらの先天的因子は受け入れるしかありませんが、生後の様々な後天的因子はコントロールが可能な部分であります。ひとつの症例において,先天的囚子と後天的因子がそれぞれ何%ずつを占めているのかを正確に示すことはできません。しかし,臨床経験が長くなれば長くなるほど,後天的因子の関与の大きさを痛感するようになってきます。後天的因子は,習癖や鼻咽腔疾患など様々です。
 後天的因子による不正咬合は、原因を取り除けば予防が可能であるし,重篤化を防ぐこともできます。さらに,矯正治療の成功率を上げ,その後の安定性を高めることにつながることは当然のこととして理解いただけるであろう。そのことは,1907年にすでにAngleも唱えていました。「口唇や舌の悪い癖は変化に富んでいて,不正咬合の原因や維持に強く関わっている。克服するのは非常に難しいが,克服しなければ矯正治療の成功は望めない」となります。口腔筋機能不全についてはいまだ解明されていない部分が多い。安静時の舌位には影響を受けるが,嚥下時には関係がないという説もありますが、多くの臨床家はその影響を感じており,また安静時だけでなく嚥下時の舌背の形状も,オーバーバイトの量に関係があったという報告もあります。

ナイトガード

 ナイトガードを患者さんに提供する場合,口腔内外の観察を行うだけでなく,ナイトガードの状態も定期的に観察する必要があります。ナイトガードの破損や未萌出歯の萌出などにより,歯の挺出や移動などが生じ,咬合に悪影響を及ぼす可能性があるためです。口腔衛生の不良や患者さんの不適切な使用方法などによりナイトガードが破損し,粘膜の潰瘍や炎症,歯痛やう蝕などを発症する可能性も考えられます。
 また,リコール時にはナイトガードについた睡眠時ブラキシズムによる圧痕からどのような顎運動を行っているのか,どのくらい咬耗するのか認識することも重要です。圧痕については記録の後,十分な研磨を行うことで,次回の予約までにどれくらいの圧痕が付与されるか観察できる。しかし,そのリコール期間に関しては,十分なエビデンスは示されていないため,症状やナイ・トガードの観察から判断しなければなりません。
 ソフトタイプのナイトガードであっても,快適性と睡眠時ブラキシズムに対する効果を得るためには同様に経過を観察する必要があります。ソフトタイプは,ハードタイプこ比較して耐久性に劣るため,経過観察問隔を短くしたほうが良いかもしれません。破断あるいは穿孔などの破損が認められた場合は修理が困難であるため,再製作を行うケースが多い。
 リコール時に行動療法もあわせて行うことで,睡眠時ブラキシズムによる咬筋活動が減少した報告があります。ナイトガードのみで歯の保護を図るのではなく,行動療法も継続できているかフォローアップすることが重要です。
 現在においても,理想的なナイトガードに対するコンセンサスはなく,明確なメ力二ズムも不明なままです。しかし,なおもナイトガードは睡眠時ブラキシズムなどの異常な筋活動に対する有力な治療法であると考えられています。

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