ドクターブログ

歯周病のメインテナンスとセルフケア

歯周病やう蝕の治療と予防のためにプラークコントロール,とりわけセルフケアは欠かすことはできません。セルフケアを定着させるためには,ブラッシング指導が適切に行える患者参加型の診療システムが必要になります。とりあえず治療の合問にブラッシング指導を行っていても患者にはブラッシングの方法しか伝わらず,なぜ行わなければならないかが理解されないままになり、適切なセルフケアは定着しません。そのため,コンサルテーションで患者にセルフケアの重要性を伝え、セルフケアに取り組む意欲を確認、その上で,ブラッシング指導を開始すれば良好な結果が得られる可能性は高くなります。そして,セルフケアが定着しているかどうかは,メインテナンス・サポーティブペリオドンたるセラピー(SPT)で確認する。セルフケアとプロフェッショナルケアを継続していただくことで、長期に渡り健康で快適な口腔を維持できるようになります。
 しかし,高齢化などを含めた患者のさまざまな事情により,セルフケアが十分にできないこともあります。その場合,プロフェッショナルケアの比重が高まることを念頭に置く必要がありますります。その上で,今後も患者さんの利益のためにセルフケアの定着を目指し診療を行っていきたいと思います。

歯周外科治療

 歯周病は細菌感染症で,完全に治癒することはない慢性疾患です。いわゆる歯周病活動期にその病気は進行します。静止期から活動期に変化するサイクルは,バイオフィルムの病原性や宿主の全身的要囚をはじめとする多くの因子の影響を受け,各個
人・各歯・各歯面によってもさまざまです。このサイクル頻度が歯周組織破壊の進行速度を左右するといわれています。またそのサイクル変化は口腔単位でなく,各歯,各歯面単位で異なるために,治療はもちろん,メインテナンスも歯周病治療ではより重要となるのです。
 歯周外科処置は歯周病治療の一つの選択肢ですが,歯周組織の再構築が可能となり,一つ高いレベルからメインテナンスを開始できます。しかし,ひとたびその適応範囲を問違えると,予想外の結果を招くこともあり、処置介入にあたっては総合的かつ慎重な診断が必要です。
 現在では,一つの病態に対して,数種類の歯周外科治療のオプションが存在します。術式の選択も重要ですが,処置を行った後の歯周環境が,術式によって大きく異なることにも注視すべきです。これは,処置後のメインテナンスの概要を術前に予測して患者さんに説明,同意を得ておく必要があります。また,別の観点からみてみると,歯周外科処置は軟組織,硬組織の2つの部位を処置対象にしているといえます。この2つの部位をどのように扱うかによって,治癒像は変わります。
 ここでの大原則は,上皮の治癒のスピードが他の組織の治癒よりかなり速いということです。その点を考慮することが,さまざまな病態から適切な術式を考えるヒントになります。

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