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加齢とともに姿勢の変化が顎位に与える影響

加齢による姿勢の変化は,全身の筋力の低下、特に等尺性の収縮力低下により生じるもので、さまざまな全身各所の加齢変化を伴っている可能性があります。その一つは、呼吸・嚥下機能を担う喉頭の位置の変そして顎位の変化である.頸椎の前彎がなくなり,頭部の位置が前方へ変化することにより、環軸関節は以前と違う環境にさらされます。そして、舌骨の位置変化なども加わり、そのすべてが顎位に影響を与えている可能性があります。その顎位の要となる顎関節にも、高齢者特有の器質的変化がみられ、顎位は不安定になっていきます。

高齢者の顎位の変化

 顎位に関する顎関節の正常構造と加齢変化については、顎関節は下顎骨と側頭骨とを連結し、顎運動を規制する左右一対の重要な関節であり、両側が同時に機能するという、ほかの関節とは異なる特徴が有ります。そのため、片側に変化が生じた場合、他方の関節にも影響が及ぶこととなります。
顎関節は蝶番運動と滑走がバランスよく行われるように構造されており、その形態は進化と発生から形作られた面と、その後の機能の変化に適応して形成された面の二次的な要素を含んでいます。すなわち、顎関節は哺乳、咀嚼などの機能変化、そして無歯期から乳歯列期、永久歯列期などの咬合状態の変化に適応して形態を変えることができます。これは顎関節部に加わる負荷によって、その形態を適応変化さrせていることによるものです。加齢、および歯の喪失により下顎頭への負荷が減少すると、外形は委縮してラフな関節へと変化していきます。
また、顎関節の器質的変化は関節窩と下顎頭の間に存在する関節円板に及ぶこともあり、関節円板穿孔例もあります。これは顎位の変化によって関節円板を長年するような力が働いた結果ではないかと推測できます。そして、加齢に伴って顎位も不安定になっていきます。

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