矯正治療は、見た目だけを整えるのではなく、機能との統合を追い求めなければなりません。しかし日本ではまだ見た目の歯並びを治すための治療という認識があります。
いわゆる歯列矯正とは、正しく咬み合ってない(不正咬合)上下の歯をきちんと咬み合うように治す治療をいいます。つまり咬みあわせを治療した結果、歯並びもきれいになるわけで、美的な効果だけを目的にしている治療ではありません。
正しい咬み合わせを得ることで口元の形を整え、同時に食べ物を良く咬めるようにすることを目的とします。
また、発音を明瞭にさせるとともに、虫歯や歯周病を防ぎ、健康な口腔状態へと導くことが重要です。その上で、当院ではそれぞれの患者さんに合った装置で痛みが少なく、できるだけ期間の短縮できる治療を目指します。
当院では子どもの矯正治療が重要と考えます。成人矯正との大きな違いは、顎の骨の成長があるかないかです。子どもの場合は、第一次、第二次成長期の上顎、下顎の発育を治療に利用できます。
出っ歯の場合、成人では上の前歯を引っ込めるために歯を抜く可能性が高まります。しかし、子どもなら下顎の発達を利用し、効率よく歯を動かせるので、歯を抜かずに治療できる可能性が高くなります。矯正治療は重度の歯周病がなければ何歳からでも可能ですが、適応年齢から始めることができると、歯を抜く可能性が減るのです。
矯正治療は特にインフォームドコンセントが重要といえます。
矯正治療は期間が長い上に、一度始めると簡単には中断できなくなるので、相談時にカウンセリングを重ね患者さんが納得するまで何度でも説明・相談します。
そして、患者さんが納得してから精密検査を行います。その検査結果をもとに、それぞれの患者さんに合った最善の治療方針を、診断時に患者さんとともに検討していきます。
唇側装置、舌側装置、インビザライン(マウスピース型カスタムメイド矯正装置)など、患者さんに合った装置が選択できます。
矯正歯科治療は公的健康保険適用外の自費(自由)診療です。
基本検査料 | ¥22,000 |
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診断料 | ¥22,000 |
乳歯列治療 | Ⅰ期治療 | ¥110,000~330,000 |
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Ⅱ期治療 | ¥330,000 | |
成人歯列治療 | ¥330,000~660,000 | |
部分的な歯列治療 | ¥110,000~330,000 | |
処置料 | ¥5,500 |
矯正治療の一般的な治療期間は2~3年間、通院回数24~36回
① 矯正歯科装置を付けた後しばらくは違和感、不快感、痛みなどが生じることがありますが、 一般的には数日間~1、2 週間で慣れてきます。
② 歯の動き方には個人差があり、予想された治療期間が延長する可能性があります。
③ 矯正歯科装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院など、矯正歯科治療には患者 さんの協力が必要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
④ 治療中は矯正歯科装置が歯の表面に付いているため食物が溜りやすく、また歯が磨きにくく なるため、むし歯や歯周病が生じるリスクが高まります。したがってハミガキを適切に行い、 お口の中を常に清潔に保ち、さらに、かかりつけ歯科医に定期的に受診することが大切です。 また、歯が動くと隠れていたむし歯があることが判明することもあります。
⑤ 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることや歯肉がやせて下がることがあります。
⑥ ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
⑦ ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
⑧ 矯正歯科装置などにより金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
⑨ 治療中に顎関節の痛み、音が鳴る、口が開けにくいなどの症状が生じることがあります。
⑩ 治療の経過によっては当初予定していた治療計画を変更する可能性があります。
⑪ 歯の形の修正や咬み合わせの微調整を行う可能性があります。
⑫ 矯正歯科装置を誤飲する可能性があります。
⑬ 矯正歯科装置を外す際にエナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
⑭ 動的治療が終了し装置が外れた後に現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす必要性が生じる可能性があります。
⑮ 動的治療が終了し装置が外れた後に保定装置を指示通り使用しないと、歯並びや、咬み合せの「後戻り」が生じる可能性があります。
⑯ あごの成長発育により咬み合せや歯並びが変化する可能性があります。
⑰ 治療後に親知らずの影響で歯並びや咬み合せに変化が生じる可能性があります。また、加齢や歯周病などにより歯並びや咬み合せが変化することがあります。
⑱ 矯正歯科治療は一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。