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大臼歯根分岐部病変

 大臼歯が歯周病で抜歯される原因として,根分岐部病変が発症し進行することが重要な因子になっているものと考えられます。過去の研究では,根分岐部病変がある大臼歯では根分岐部病変がない大臼歯よりも抜歯になっていることを発表しています。大臼歯の歯周治療の予後に重要なのは,根分岐部病変の治療をいかに成功させるかです。しかし,根分岐部病変の原因はまだ解明されておらず,したがって治療法も確立されていません。
 GlickmanやWaerhaugが根分岐部病変への咬合性外傷の関わりについて考察しています。Glickmanらは模型を用いた光弾性試験などの結果から,根分岐部は過剰な咬合圧が加わり,最も咬合外傷を受けやすい部位であるという考えを示していSB)ます。Waerhaugは,歯の動揺度や中心咬合位での早期接触態から,咬合性外傷のみの影響ではなく,根分岐部に付着したプラークによって炎症と浮腫が現れ,その結果,歯が挺出し外傷性病変が生ずるという見解を発表しています。さらにその後の研究から,現在では歯周組織の炎症と咬合性外傷とが合併すると歯周炎が進行しやすいと考えられており、根分岐部病変の、原因として炎症に加えて咬合性外傷が大きく影響しているではないかと推測される。
 しかし,Lindheの分類のⅡ度やⅢ度の高度の根分岐部病変を有するケースでも歯周基本治療のみで治癒させることができることや,歯ぎしり(SB)が関与しているLindheの分類のⅢ度でも歯周基本治療に加えてSBのコントロールが成功すれば治癒できるケースも経験するので,根分岐部病変への咬合件外傷の関わりを知ることは重要でです。

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