ドクターブログ

高齢者の中性電解水による洗口と義歯洗浄

義歯洗浄により義歯の汚れが完璧に除去できたとしても、再び装着すれば口腔内微生物との接触は必ず起こる.しかし,洗口や残存歯の清掃により口腔内微生物を減少させ
ることは,清掃した義歯への付着微生物を減少させ,これらの付着微生物に起因するプラーク形成を抑制して口腔環境の向上につながる.すなわち,口腔内と義歯の両方の洗
浄が口腔環境を大きく左右する. 健康な成人に対する臨床試験の結果から,中性電解水は唾液や正常細菌叢への影響がイソジンガーグル液と同等であり,口腔ケアへの応用が可能であるとしている.中性電解水は,既存の義歯洗浄剤や洗口剤とは全く異なり,義歯と口腔内の両方の洗浄が可能であるという点が利点である.口腔内の清掃として, 口腔粘膜や舌の清掃も重要である。 要介護高齢者においては,加齢,薬剤の服用、認識力の低下および口呼吸等により口腔乾燥が顕著であることも多く, スポンジブラシや舌ブラ整えたうえで行ったほうが良い 当分野では,中性電解水の有効成分が希望部位に停留して有効に働くように、中性電解水ジェル の開発・改良も行い,根管に対する洗浄および貼付で根管内の消毒・殺菌に有効であることを報告されている。

感染根管治療と抗菌薬

 不適切な処方が原因の抗菌薬の過剰使用は世界的な問題となっており、耐性菌の出現や全身的な副作用のリスク, 医療費の圧迫などが懸念されています。
現在,各国でガイドラインが発表され, 適切な抗菌薬の使用が勧告されています。抗菌薬の使用はあくまで治療の補足的な方法であり, 感染の拡大予防, 全身的な関与を伴う急性根尖膿瘍, 進行性 持続性のある感染症に適応となる。 壊死した歯髄組織には血管は新生せず, 抗菌薬が感染部位に十分に到達しないことから、症状の改善には根管処置行う必要がある。根尖膿瘍においても切開, 排膿などの消炎処置を行い,嫌気環境を改善しないと薬効を低下させてしまうのです。
 各国で抗菌薬の使用状況について調査されているが,不必要な処方の要因として, 処置に対する時間不足,患者からの要望といったものが主にあげられます。これらは日本の歯科医療現場でも同様である.歯科医師も簡単に処方しがちであるが,その判断基準は経験的なものが多いのではないだろうか。抗菌薬の使用についてはリスクを伴うことを十分に理解し、患者にその必要性について説明できなければならない. 抗菌薬の使用は、 症状および患者の状態をよく確認し,その必要性を正当化できるかが重要であり, 過剰処方を可能な限り避けることが望ましいと考えます。 

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