ドクターブログ

歯周基本治療

 患者さんの徹底したブラッシングと術者の適切なスケーリング・ルートプレーンニングによって獲得された長い上皮性付着は,良好なメインテナンスを経て結合織性付着に変化したように推察されることがあります。それは特別なことを言っているわけではなく,日常的に行われている歯周基本治療の質をより高めてゆくことによっておこります。
 質の高い歯周基本治療を実践するための要点は,1.質の高いプラークコントロールを行う患者のモチべーションとその継続 2.麻酔をしなくても痛くないルートプレーニング 3. 適切なルートプレーニングの開始時期を見極めること,以上3点であると考えています。無麻酔でも痛くないルートプレーニングは,歯周組織を掻爬しないため歯周組織の量を減じることがありません。その結果、通常では抜歯の適応と考えられがちな重症例にも対応できること,歯の自然移動や歯肉のクリーピングにとって有利なことなど,その利点は多いと考えます。

骨と神経の炎症

 歯髄および根尖歯周組織に生じる疾患の本態は,炎症です。炎症という視点で治療技術の発展を振り返ったとき,局所の炎症を制御する方法は十分に確立されていないことがわかります。最新機器を用いて歯科医師は「残せそうな」歯髄に対しては感染歯質除去後に覆髄を行い,炎症が可逆性であることを信じて歯髄が正常状態に回復するのを待つ。そして,痛みに関する患者の訴えのみを頼りに,歯髄保存が無理な場合は抜髄を行います。歯内治療においても同じで,最新機器を用いた根管治療により環境を整えた後は,根尖部歯周組織(歯根膜,骨)が治癒に向かうのを待つのみです。必要であれば消炎鎮痛剤や抗菌剤を投与するが,局所のみをターゲットにすることはできず,全身に影響を及ぼすことがあるため,症例によっては使用できないこともあります。歯髄や根尖歯周組織に炎症を誘発する感染源を除去するとともに再感染を防止することは,治療を成功に導くうえで重要です。また,炎症そのものは治癒プロセスにおいて必須であり,炎症を全く起こさないようにすることは健全な治癒にとって好ましいことではありません。しかしながら,局所に生じている炎症の程度をコントロール(制御)できれば,残せそうな歯髄を残すことができ,難治化している根尖部組織を治癒に導くことが可能になるかもしれません。

第75回日本矯正歯科学会

11月9日 第75回日本矯正歯科学会に参加して来ました。

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