ドクターブログ

歯周病と老年病

 現在,8020達成者は38.3%となり,今後も増加する一方,現在歯に4mm以上の歯周ポケットを有する割合も,後期高齢者では42.8%と,平成17年度から10%以上も増加しています。よって,今後の高齢者は歯周病罹患歯を多く保有する結果,歯周病に罹患した高齢者が増加していくと推測されます。
 一方,ペリオドンタルメディシンが提唱されて以来,歯周病と全身疾患の関連性が注目され,生活習慣病を中心に多くの報告がなされてきました。すなわち,メタボリックシンドロームの危険囚子である肥満,2型糖尿病,心臓血管疾患との関連性が多く報告され,さらに,1型糖尿病,骨粗穀症,誤嘸性肺炎,早産・低体重児出産などとの関連についても報告かおり,近年では新たに悪性腫瘍やアルツハイマー病といった老年病との関連も登場しています。
 国連,WHOは,心血管系疾患,2型糖尿病,がん,閉塞性肺疾患などの慢性疾患を総称して非感染性疾患(NCDs:NonーCommunicable Diseases)と定義しており,生活習慣病もそのなかに含まれます.現在,NCDsは,認知症,転倒・骨折に代表される老年病・老年症候群に影響を与えるという報告が増加しています。このことから,歯周病がNCDsを通して老年病・老年症候群に関与,あるいは直接関与している経路が推察されます.実際,平成26年(2014年)の国民生活調査の「介護が必要となった原囚」では,脳血管疾患18.5%,心疾患4.5%・,認知症15.8%,骨折・転倒11.8%という結果であり,歯周病が関与すると思われる疾患で50%を超えています。これらから介護予防としての歯周病治療の重要性が伺われます.

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