神奈川県の北東部に位置する政令指定都市で、７区の行政区を持っています。市内全域が旧武蔵国で、相模国に属していた地域を含まないのは、神奈川県内の市町村で川崎市が唯一です。北西部の丘陵地帯に人が定着したの古く、黒川などでは旧石器時代や縄文時代の遺跡を確認することができます。明治・大正期は川崎駅で都市化が急速に進行し、その後昭和前期になると鉄道の開業が相次ぎ、私鉄沿線には住宅地が、多摩川沿いの南武線沿線には工業地が展開しました。

北は多摩川を境に東京都と接し、南には多摩丘陵が広がり、生田緑地は市民の憩いの場となっています。多摩川梨が有名で、かつては「稲城梨」として東京市場の名産品として評判であり、1932年に現在の「多摩川梨」の呼び名に変更しました。また、「のらぼう菜」と呼ばれる、多摩区菅地区で自家消費用として栽培されていた野菜が、近年メディアで取り上げられ新たな名産品となりつつあります。

中野島は登戸と稲田堤に挟まれた閑静な住宅地です。中野島という地名は、もともと多摩川の川中にある島のような地形から武蔵国多摩郡の中島新田と名付けられ、1938年に川崎市に合併しました。かつては多摩川を渡るために渡舟が各地で使われ、この中野島でも1885年から昭和初期まで、対岸との往来、東京への野菜、梨、桃などの出荷、下肥の運搬などに利用されました。