ドクターブログ

ナイトガード

 ナイトガードを患者さんに提供する場合,口腔内外の観察を行うだけでなく,ナイトガードの状態も定期的に観察する必要があります。ナイトガードの破損や未萌出歯の萌出などにより,歯の挺出や移動などが生じ,咬合に悪影響を及ぼす可能性があるためです。口腔衛生の不良や患者さんの不適切な使用方法などによりナイトガードが破損し,粘膜の潰瘍や炎症,歯痛やう蝕などを発症する可能性も考えられます。
 また,リコール時にはナイトガードについた睡眠時ブラキシズムによる圧痕からどのような顎運動を行っているのか,どのくらい咬耗するのか認識することも重要です。圧痕については記録の後,十分な研磨を行うことで,次回の予約までにどれくらいの圧痕が付与されるか観察できる。しかし,そのリコール期間に関しては,十分なエビデンスは示されていないため,症状やナイ・トガードの観察から判断しなければなりません。
 ソフトタイプのナイトガードであっても,快適性と睡眠時ブラキシズムに対する効果を得るためには同様に経過を観察する必要があります。ソフトタイプは,ハードタイプこ比較して耐久性に劣るため,経過観察問隔を短くしたほうが良いかもしれません。破断あるいは穿孔などの破損が認められた場合は修理が困難であるため,再製作を行うケースが多い。
 リコール時に行動療法もあわせて行うことで,睡眠時ブラキシズムによる咬筋活動が減少した報告があります。ナイトガードのみで歯の保護を図るのではなく,行動療法も継続できているかフォローアップすることが重要です。
 現在においても,理想的なナイトガードに対するコンセンサスはなく,明確なメ力二ズムも不明なままです。しかし,なおもナイトガードは睡眠時ブラキシズムなどの異常な筋活動に対する有力な治療法であると考えられています。

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